代表 大久保久江

私たちは、毎日ごはんを食べます。一日3回も「あ~!美味しい」とか「ふ~、落ち着いた~」とか「温まったわ~」とか、しみじみ思えることって素晴らしいと思います。

人を元気にする、食の仕事の楽しさに目覚めたのは、前職の物流会社の一畳足らずの給湯室。皆で食べようとお昼ごはんを作り始めたのがきっかけでした。

さらにお料理上手で、味覚の優れたスタッフたちが周りにいたことが重要な要素となり、ついには2010年に日本の伝統的家庭料理を「母めし」と名づけ創業しました。仲間も増え、どんどんその楽しさにのめりこんでいきました。

思えば、実家が八百屋を営んでいたことも、今の私に少なくない影響を与えていたように思います。いつも真ん中には、ごはんがありました。

たくさんの人が一緒にごはんを食べ、皆が元気に働いている場所が大好きで、私はそんな場所を作りたかったのかもしれません。

日本は、優れた和食文化を持ちながら、同時に海外の食材や調理方法も積極的に取り入れ、柔軟に食文化を発展させてきました。時代が変わるなかでも、残っていく大事な価値もあるし、合理化して便利にしていった方がいいこともあるでしょう。

一方、たくさん選択肢の中から何を選んだらよいのか、迷う事も多いと思います。美味しさだけでなく、安全性、栄養価、家計のこと、時間…と考えていくと、せっかくの食事が嫌になってしまうぐらいに。

そこに答えをくれるのが、和食に現代の知恵を加えた「母めし」だと、私は考えます。自分の中に軸をもつことで、「食」の多様性をなお一層楽しめるようになるのではないでしょうか。

迷ったときは、まずはご飯を炊いて、お味噌汁を作ってみてください。そして、家にある材料で、シンプルに味付けしたおかずを頬ばってみてください。素朴で懐かしい味付けで、あったかいごはんに心も体もホッとすること間違いなしです。だから、肩の力を抜いても大丈夫。

「そうだっ!今日は、あれとあれで『母めし』にしよう!」と、気軽に思いつく人が増えますように。何より、毎日を元気に笑顔で過ごせる人達が増えますように。温かなごはんを頬張ったら、きっといつの間にか笑顔になっているはずです。

2020年11月 母めし研究所代表 大久保久江

代表プロフィール
1954年9月
東京で八百屋を営む家に生まれる
1989年4月
配偶者の転勤に伴いシンガポールに転居。語学学校にて日本人教師として勤務
1994年6月
帰国後、物流会社に就職。2008年に役員に就任
2010年11月
株式会社やまもりを起業、「母めし」食堂事業を展開
2012年2月
直営「やまもりカフェ」を国立市の古民家にオープン
2013年2月
「母めし」コンサルティング事業開始
2014年4月
『母めし一汁三菜 ~みんな大好き母の味 ずっと伝えたい和食献立~』(マイナビ出版)を出版
2015年2月
『母めし 人気おかず―思い出すと、食べたくなる。』(宝島社)を出版
2016年1月
『母めし 季節の献立 一汁三菜 -旬の野菜でからだを整える』(マイナビ出版)を出版
2016年12月
「やまもりカフェ」クローズ
2020年1月
「母めし研究所」立ち上げ